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葉桜の季節に君を想うということ、歌野 晶午
葉桜の季節に君を想うということ
葉桜の季節に君を想うということ
歌野 晶午

ネタバレあり。

 なぜこの本がそんなに絶賛されているのかが分からない。
 若者の恋愛、というふうに文章が進みつつ、じつは違うんだよ!っていうのは、どうしたものか。

 あえて読者をだまさずとも、ストーリーの中心がしっかりしているから問題がないと思う。ところどころ「老人だから・・・」というのが犯罪の理由付けになっているが、それとて弱い。設定を変えれば何とかなるなら、あまり必然性を感じない。
「読者をだます」というプロットが今までに例のない試みというなら、挑戦的な作品かもしれないが、決してそんなことはない。”だまされ”つつ進行する、もともとのストーリー自体がそこそこ面白いのだから、急転直下の展開も、奇をてらったという印象ばかりだ。

 そしてそれ以上に、「文字」を扱うプロが人間描写で読者をだます、というスタンスに嫌悪感を覚える。
 文章に含まれる言葉には、フレーズの一つ一つに、自然とニュアンスがこもる。「きれい」を表すいくつかの言葉の中でも、特定の言葉が選ばれるのには理由があるはず。それこそ、文字が作り出す世界観、作者の感性だ。文章を”情報の伝達”のツールから、”世界観の伝達”に昇華させるのが小説家で、文字を書くのは絵を描くのに似たものだと思っていた。なのに、単語が持つ字面だけを追い、「嘘はついていないでしょ」という展開――プロがやるべきことだろうか、というのが、率直な意見である。

 心情の機微も今ひとつなように思う。
 プロットの強烈さが、それを覆い隠しているような気がする。
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